Pardot オプトアウト機能のアップデートにより柔軟なシナリオが可能に
Salesforce Summer’21のリリースで Pardot のオプトアウト管理機能が大幅に変更されます。この機能は Winter’22(2021年10月予定)で強制適用される予定で、Pardot を利用しているユーザには影響度の大きい機能変更です。
Pardot にログインすると、下記の様なメッセージが表示されていますよね?
毎回おなじみですが、このメッセージだけではどのような機能か想像が出来ません。そこでこの機能を有効にすると、どのようになるか?一足先にご紹介します。
今回のブログで学べることは以下の3つです
- オプトアウトとメール送信除外の理解
- 「プロスペクトへのメール可能性の改善」機能への準備
- この機能を有効化したあとのシナリオ例
はじめに この機能は何か?
そもそも、この機能を有効にすると何が出来るようになるのか?
機能自体はシンプルで、【オプトアウト】と【メール送信除外】項目が独立して動作するようになります。Pardot を利用しているユーザであれば、この一言でイメージできると思いますが、まずは【オプトアウト】項目と【メール送信除外】項目の関係から見ていきましょう。
1.オプトアウトとメール送信除外の理解
オプトアウトって? メール送信除外って?
まずは既存の[オプトアウト]と[メール送信除外]の関係性です。
図1では Pardot と Salesforce の項目連携を表しています。括弧内は項目名(API名)となります。
ポイントは2つあります。
- Do Not Email(メール送信除外)はオプトアウトやハードバウンスで自動的にチェックが入る
- Pardot の Salesforce コネクターにある [[プロスペクトオプトアウト済み] 項目を上書き] チェックボックスを有効にしていない場合は、オプトイン状態を手動で実施することが難しい
図2では、顧客がメールからオプトアウト(配信停止)を実施した場合です。便宜上、Salesforce の項目とも連携している前提で説明します。顧客がオプトアウトを行うと、Pardot の[Opted Out]にチェックが入ります。
その後、図3の様に Pardot の[Do Not Email]、Salesforce の[メール送信除外]にもチェックが入ります。
2.「プロスペクトのメール可能性の改善」機能への準備
アップデートの準備(バックアップ)
関係性を理解したところで、アップデートを実行する前にデータのバックアップを取っておきましょう。今回はオプトアウト関連のフィールドなので、特に慎重に進めたいですよね。また、データのバックアップは今回だけではなく、何かアップデートをする際には必ず行うようにすると安心です。
■バックアップ方法
今回のバックアップは Pardot のプロスペクトリストをダウンロードしましょう。
1.プロスペクトリストのダウンロード
その際、ビューから[メール不可のプロスペクト]を選択し、[完全エクスポート]を参照します。
2.ダウンロードしたCSVの[Do Not Email][Opted Out]フィールドを確認します。(列番号は環境により異なります)
また、オプトアウト関連の動作を各種オートメーションで設定しているユーザも多いと思います。弊社もアップデート前後でオートメーションによる挙動がどの様になるのか?事前にオートメーションルールを作成しアップデート後の数値変化の有無を検証したいと思います。
検証方法:オートメーションルール
図5では[プロスペクトのデフォルト項目]で設定し、図6では[プロスペクトのメールの状況]でセットしました。アップデート前に、どちらの設定でも同じ件数になっていることを確認しています。
アップデート方法
アップデート方法はいたって簡単です。Pardot にログインし、ダッシュボードにある「プロスペクトへのメール可能性の改善」にある「開始」ボタンをクリックします。
重要なアップデートのため確認のプロンプトが表示されます。「詳細」リンクを確認すると「アップグレード」ボタンをクリック出来るようになります。
詳細リンク先はこちらのヘルプとなります。
https://help.salesforce.com/articleView?id=sf.pardot_mailability_guidelines.htm&type=5
アップグレードボタンをクリックすると、あっけなく完了メッセージが表示されます。
どこが変わったのか?
アップグレードが完了したら早速プロスペクトの詳細レコードを確認しましょう。図10ではアップグレードの前後の違いを表しています。
変更点は大きく2つ
- メールの隣のアイコンデザインが変更
メール可能→緑のアイコンに、メール不可も濃い赤色に変更 - [メール可能性]ブロックが追加
[状況]フィールドでメールの配信状況が一目瞭然となりました。
また、オプトアウトだけではなく、ハードバウンスやソフトバウンスの状況、メールアドレスが重複しているかの確認もできるようになりました。これは便利ですね!
また、アップデート前に作成したオートメーションルールもすべてそのまま利用でき、件数にも差異はありませんでした。一安心です。
3.この機能を有効化した後のシナリオ例
新しい機能がリリースされたことにより、どのようなマーケティングシナリオが考えられるでしょうか。
1つはBtoBビジネスでよくある「フィールド営業によるマーケティングのON/OFFを制御」するシナリオです。「いま商談中なので、割引メールは配信して欲しくない」「商談が不成立になったのでナーチャリングに戻したい」などを自動化ツールと組み合わせると効率の良いシナリオが作れます。
このシナリオを実現するためには、Salesforce と Pardot の項目連携の見直しを行う必要があります。ご興味がある方はお問い合わせください。
もう1つは、顧客のバウンス状態(メールが配信できなくなった状態)によるアプローチを実施することです。フィールド営業に自動通知を送信し顧客へのアプローチタイミングを逃しません。メールアドレスの最新化や後任担当者のリサーチを行うことにより、常に有効な配信リストを維持することが出来ます。
最後に、それぞれのステータスで「どのメールが配信されるか?」をヘルプより抜粋します。
ステータス毎に「X」マークはチェックボックスがOFFの状態を表しています。
また、「トランザクションメール」とは、以前の「オペレーショナルメール」に相当し、マーケティング以外のメールを指します(フォーム通過後の自動応答メールや規約改定のお知らせメールなど)
まとめ
如何でしたでしょうか。メール配信制御がより直感的に、解りやすく改善されました。特に営業やマーケター側が制御する配信停止と、顧客による配信停止が分離されたことにより、より柔軟なシナリオを組むことが出来ます。
具体的な設定方法やシナリオのセット方法については、お気軽にお問い合わせください。